ダートクリテリウム「クリフォード」に見た、ジャンルミックスイベントの可能性

いろんな自転車、ライダーが参戦できる「クリフォード」

クリテリウムとオフロードを組み合わせたフリースタイル・ダート・クリテリウム「クリフォード」。その第2戦が6月28日、三重県桑名市のBMX・MTBコース「ゴンゾーパーク」で開催されました。

BMXのメインコースを逆走し、さらにコース脇まで活用した独特のコースレイアウト。

BMXのメインコースを逆走し、さらにコース脇まで活用した独特のコースレイアウト。

普段は下りのスラロームコースを、レースではハイスピードで上っていく。

普段は下りのスラロームコースを、レースではハイスピードで上っていく。

開催地のゴンゾーパークはBMXのメインコースや、下りのスラロームコース、バンクなどエクストリーム&グラビティ的な走りを楽しめる常設コース。そのコースで、ダッシュ力や持久力、集団レース的な駆け引きを駆使して競うクリテリウムレースが「クリフォード」のスタイルなのです。

シクロクロスやマウンテンバイクのカテゴリーに加えて、マスター、レディース、キッズなど全13カテゴリー、200名超のエントリーがありました。普段は走行できないコース脇や移動用のルートを含めて、ダートジャンプもコースに組み込んでいる絶妙のコースレイアウトでした。

CX C1でレース序盤先頭を引く筧太一(BUCYO coffee.CLT)。東海レースシーンの立役者の一人。

CX C1でレース序盤先頭を引く筧太一(BUCYO coffee.CLT)。東海レースシーンの立役者の一人。

パンク(?)でバイクを担いで、完全にシクロクロス状態に。

パンク(?)でバイクを担いで、完全にシクロクロス状態に。

大人同様に白熱したレース展開のキッズクラス。

大人同様に白熱したレース展開のキッズクラス。

いつものゴンゾーパークとは違う、テクニカルなオフロードに挑戦!

いつものゴンゾーパークとは違う、テクニカルなオフロードに挑戦!

コース脇の法面(のりめん)をうまく利用したショートカット。

コース脇の法面(のりめん)をコースに利用したショートカット。

スキルと戦略が勝敗を分けたポイントがあった!

中でも盛り上がったのはシクロクロスのCX C1と、マウンテンバイクのMTB C1。各ジャンル、それぞれの最高峰カテゴリーです。

CX C1は前田公平(BiORACER)と平賀源内(サッサーズ)の一騎打ち。その勝負はコースが分岐するところで決まったと言ってもいいでしょう。先頭を行く平賀源内が分岐でショートカットを選び、急な斜面を降りてダートジャンプに差しかかったところで転倒!

   

そうなることをまるで予見していたかのようにショートカットを選ばずに、多少遠回りでもリズミカルかつスピーディーに走れるコースを選択した前田。その作戦が功を奏して、平賀の転倒に巻き込まれることもなく悠々とトップを奪い取ったのです。

じつはこの展開が起こった前の周回でも同じ場所で平賀がバランスを崩していたのですが、その時はリカバリーが早かったため、直後にいた前田は失速した平賀を抜くことができなかったのです。

その様子から下りが得意な前田は、次の周回であえて別のルートを選択したのでしょう! 多分そうだよね? きっとそうに違いない!(平賀選手が失敗したとばかりに書いているみたいで申し訳ないのですが……平賀選手も2位に入賞してますからね)。

(前から)CX C1で2位入賞した平賀源内と、3位 山中真(BMC Racing)。

(前から)CX C1で2位の平賀源内と、3位 山中真(BMC Racing)。

 

コース特性を活かしたMTBトップライダーの駆け引きを見た

MTB C1には全日本選手権クラスでトップを競うレーサーも多数参加。そこでもレース巧者ならではの駆け引きが展開されました。

全日本選手権クラスのトップライダーが、ダートジャンプを走る。

全日本選手権クラスのXCトップライダーが、ダートジャンプを走る。

エンデュランス系レースに強い山中真は4位に(BMC Racing)。

エンデュランス系レースに強い山中真は4位に(BMC Racing)。

ダウンヒルもクロスカントリーもこなす 武井怜緒奈(FUKAYA RACING)は5位。

ダウンヒルもクロスカントリーもこなす 武井怜緒奈(FUKAYA RACING)は5位。

ベテランXCライダー松本駿(TEAM SCOTT)は9位。

ベテランXCライダー松本駿(TEAM SCOTT)は9位。

特にレースを盛り上げたのが、沢田時(BRIDGESTONE ANCHOR)、前田公平(BiORACER)、中原義貴(BH RACING MTB TEAM)の若手3選手の競り合い。その様子は3週間後に控えている全日本マウンテンバイク選手権大会の前哨戦のようでもありました。

(前から)先頭集団を形成した中原義貴、前田公平、沢田時。

(前から)先頭集団を形成した中原義貴、前田公平、沢田時。

序盤から徐々にこの3選手が先頭集団になり、前から中原、前田、沢田の順に並び、レースをコントロールする展開に。40分のレースのちょうど中盤、20分を超えたところで沢田が上りはじめでアタック。中原、前田の両選手は沢田のアタックについていけない。

上りでアタックをかけた沢田時。

上りでアタックをかけた沢田時。

上りでアタックをかけた沢田時、そして下りで引き離されてしまった中原義貴、前田公平。

上りでアタックをかけた沢田時、そして下りで引き離されてしまった中原義貴、前田公平。

つかず離れずの展開だったのが、上りきったところでは約5秒もの差がついてしまったのです。これまでの緊張の糸がほどけたかのように、3人の集団はばらけました。沢田は独走態勢になり約29秒の大差をつけて優勝。続いて前田、その約26秒後に中原がゴール。

序盤で相手の様子をうかがうような集団走行でのヒリヒリとした緊張感、そして中盤から一気に動き出す展開。そのドラマチックな様子は、レースという形で繰り広げられた物語のようでもありました。そんなドラマの主人公たちはペダルの上でなにを考えていたのか、それはレポート続編をお楽しみに!

 

「クリフォード」のコンセプトがライダーの走りから伝わってきた!

とまあこんな感じで「どこでなにが起こったのか!」ということが、コースのどこからでも見えるのです。丘の上にまるでひな壇のように作られたゴンゾーパークだからこそ可能な、レース観戦の面白さがありました。それと同時に、このコースの特徴を活かしてレースの展開や駆け引きを考えてコースレイアウトした人の手腕をも感じたのです。

レースの展開を一望できるゴンゾーパークらしいコースレイアウト。

レースの展開を一望できるゴンゾーパークらしいコースレイアウト。

その大会プロデューサーであり、マウンテンバイクの元ダウンヒルレーサーでもある丸山由起夫さんは、このクリフォードのコンセプトをこう語りました。

「ダウンヒルライダーはテクニックだけじゃなくてスタミナもある。クロスカントリーで走っても速い。そんなことを多くの人に知ってもらえたらと思って始めたのがクリフォードです。マウンテンバイクを15年乗ってきて、ダウンヒルもクロスカントリーもやったけど、やっぱどれも楽しいんですよ。マウンテンバイクもロードバイクも楽しい。自転車はどんなジャンルだって楽しいって気持ちを、皆さんと一緒に共有できたらいいなと思っています」。

「ただ単にクロスカントリー系のレースであっても、体力や耐久力だけじゃ勝てないということをレースで演出していきたいと思います。なにより、こんなにすごい走りをライダーのみんなが見せてくれているので、より多くの人に見てもらいたい。だからコースが短くてもレース全体を見渡せるレイアウトを考えています」。

  

  

そんな丸山さんの想いが東海地方を中心に各地のライダーに伝わり、開催を重ねるうちにロードバイク系の人、ダウンヒル系の人の参加も増えたそうです。レースでは使わないパンプトラックで遊ぶライダーの姿も印象的でした。「競技を楽しむだけじゃなくて、広い意味で自転車を楽しみたいという人が参加してくれるようになり、とても面白い変化が起こっています」と丸山さん。その変化を象徴するように、ゴンゾーパークのダートジャンプレーンでは、高いジャンプで会場を沸かせるライダーも登場。

そのなかでもひときわ目立っていたのが、シクロクロス CX C2で優勝した織田聖選手(Above Bike Store Cycle Club)。ジャンプでは高いエアをきめて、シクロクロスなのにノーハンドまで披露するというスタイリッシュな走りを見せてくれました!

ギャラリーを引きつける織田聖のジャンプ(写真のタイミングずれてますが、しっかりノーハンドしてました)。

ギャラリーを引きつける織田聖のジャンプ(写真のタイミングずれてますが、しっかりノーハンドしてました)。

「BMXレースは幼稚園の年中さんから小学校の5、6年生ぐらいまで乗っていました。いまはシクロクロスがかっこいいなって思って、シクロクロス中心に乗っています」という織田選手。

午前中の1レースでは跳び足りなくて、ブース出展していたクワハラバイクワークスさんからシングルスピード仕様で組まれたMTB「菊一文字」を借りてMTB C1にも急遽エントリー。シクロクロスでのジャンプをすでに見ていたキッズからは「ジャンプ、ジャンプー!」とリクエストされるほどの人気を獲得していました。

MTB C1でトップを快走する沢田時と、借り物のMTBでもジャンプをきめる織田聖。

MTB C1でトップを快走する沢田時と、借り物のMTBでもジャンプをきめる織田聖。

「小さい子からジャンプ、ジャンプって言われて、跳ばなきゃって思いました(笑)」。ジャンルをクロスオーバーした雰囲気やキッズライダーを感化させたライダーの登場も、クリフォードらしさを表現していますね!

ジャンプでレースを盛り上げつつ、CX C2を優勝した織田聖。

ジャンプでレースを盛り上げつつ、CX C2を優勝した織田聖。

「バイクは川崎市のショップ、ABOVE BIKE STOREでオーダーしたSteel Era MUD MANです。僕はディスクブレーキを選びました。これからもう一台ディスクブレーキ仕様を組んで、2台体制でいこうかと思っています」。

  

  

織田選手のシクロクロスバイクのお気に入りポイントは、ネーミング入りのカスタムペイントを施したオーダーのクロモリフレーム、そして天候に左右されにくいディスクブレーキ仕様。シマノの機械式ディスクブレーキを使っていました。織田選手は「ディスクブレーキはコントロール性がいい」ということで、シクロクロス用にもう一台ディスクブレーキ仕様を作って、冬のシクロクロスシーズンに備えるということです。

 

あらゆるタイプの自転車乗りが楽しんだクリフォード。

あらゆるタイプの自転車乗りが楽しんだクリフォード。

クリフォード全3戦の最終戦は8月2日に開催。特設コースの特徴を、大会プロデューサーの丸山由起夫さんに再び聞きました。

「3戦開催しますが、それぞれ違うコースコンセプトにしています。全部違う特色があって、どの大会でも楽しめるようなコースレイアウトです。静岡県浜松市、高山ふれあいの森で4月に開催された第1戦は、山の地形を活かして上りと下りがしっかりあるコース。今回の第2戦、ゴンゾーパークはテクニカルで、漕ぐだけじゃなくてプッシュプルの動作があってジャンプがあるコース。8月の第3戦は起伏が少ないフラットなコース。でもフラットだからといって体力があれば勝てるコースかというと、そうじゃないんです。なぜかというと駆け引きがあるからです。そこを演出できれば、3パターンの違うコースができて、勝てるライダーも変わってくる。それぞれのライダーに得手不得手があって、新たな目標をもてるようなレースにしていきたいなと思っています」。

ジャンルミックススタイルで新しいスポーツ自転車の楽しみ方を提案するフリースタイル・ダート・クリテリウム「クリフォード」。その魅力を皆さんもぜひ体験してみてください!

 

レポート続編:クリフォード第2戦、MTB C1トップ3はなにを考えて走ったのか?

関連リンク:freestyle dirt criterium CriFFORD