クリフォード第2戦、MTB C1トップ3はなにを考えて走ったのか?
フリースタイル・ダート・クリテリウム「クリフォード」。MTB C1でトップ争いを3人で繰り広げた沢田時(BRIDGESTONE ANCHOR)、前田公平(BiORACER)、中原義貴(BH RACING MTB TEAM)の若手3選手。彼らはどのようにレースを進めたのか聞いてみました。
-面白いレースを観戦できました。レースを振り返った感想を。
沢田「(3週間後の)全日本もそうなるといいなということで(笑)」
全員 (笑)
前田「そうはいかない(笑)」
―沢田選手が仕掛けたのは何周目でしたっけ?
沢田「何周目だったっけ? 半分ぐらいかな。ミスっちゃいけないという緊張感ありましたね。ミスってしまうと追いつけないし、かといって近すぎると絡んでしまうので、そこはけっこう気をつかいました」
―仕掛けるタイミングはもともと考えていた?
沢田「そもそも僕が出られるポイントが、周回の始めからのなだらかな上りしかなかった。上りで差がちょっと開いたときに、行くしかないと思って仕掛けました。残り時間10分ぐらいだと思ったらまだ半分で20分ぐらい残っていたので、そこから長かったですね(笑)」。
―走りのパワーで振り切りたかったと。
沢田「そうですね。なだらかな上りがそこからしかなかったので」。
―で、仕掛けられたお二人としては?
前田「いやー、もうスカスカだったので、仕掛けられたらイヤだなーと思っていたんですけど、反応できなかったですね。もうちょいコース上のほうだったら、すぐに下りだから下りで追いつけると思ったんですけどね。上りきるまでに差が開いちゃって」。
沢田「そうだよね。公平はジャンプが跳べるので、上りの後半で仕掛けても差が小さければ下りで追いつかれると思ったので、仕掛けるなら上り始めから行って、差を広げた状態で下りに入らないといけないと考えていました」。
-なるほど、そうやって考えるんですね。
沢田「得意なところがそれぞれあるので」。
前田「相手の得意なところも、だいたい分かるからねー(笑)」。
沢田「相手が得意なところの手前で仕掛けてもあまり意味がないことになってしまいますからね。まあ、終わったことだから言えるけど(笑)」。
―で、いま沈黙している中原選手はどうでしたか?
中原「いやいや、僕はもう出し切ることしか考えていなかったですから。常に全力で上りもとにかく漕いで」。
前田「最初は速かったー(笑)」。
中原「その状態でどれだけミスらずに冷静に走れるかってことを意識していたんですけど。まあでも15分か20分ぐらいで脱水症状みたいになって、もういいわって感じになりました(笑)」。
前田「水飲めるポイントもないしね」。
中原「あとは先頭を譲って水飲みながら走りました」。
―今日のレースは全日本マウンテンバイク選手権を3週間後に控えて、シミュレーション的なものになりましたか? それともホビーレース的に楽しんだ感じ?
沢田「ん~、あんまりシミュレーションにはならないですね。コース的にクロスカントリーレースと走り方が違うので。でも緊張感は一緒ですね」。
中原「やるからには勝つ」。
前田「全力で楽しむけど、ぜってー負けねーぞっていうね(笑)」。
沢田「緊張感をもって3人で全力で走るっていうことは同じですからね」。
―クロスカントリーライダーにとってゴンゾーパークのこんなコースはどうですか? 面白い?
沢田「こっちのほうが正直言って楽しい」。
全員 (笑)
中原「僕としてはもうちょっと上りがあってもいいかな」。
前田「最近のクロスカントリーコースもこういうバンクセクションがありますよね。ジャンプとか縦の動きも身につけなきゃって思いますね」。
沢田「うん、海外のレースだとバンクとかある。日本のクロスカントリーレースだとバンクとかないですからね。で、海外に行くとバンクを使ったレースコースがあって、うまく走れないんですよね」。
前田「バンクへの乗せ方が分からないよね」。
沢田「積極的にこういうクリフォードのようなレースにも出ればいいかなと思いました。ゴンゾーパークにもまた練習にも期待ですね」。
―おっ、クリフォードさん、ゴンゾーパークさん大喜びのコメントですよ。
前田「でも、案外ないよね、こういうコースって」。
―多気町のコース(三重県多気町・勢和の森マウンテンバイクコース)はどうですか?
中原「あそこも面白いしテクニカルだし」。
沢田「バンクとかあっていいよね」。
前田「ひたすら長い上りとかないから、飽きない」。
沢田「そうそう。多気町の秋のレース(10月3~4日「勢和多気 国際マウンテンバイクレース」)のためにも、ゴンゾーパークはいい練習になるよね」。
―ほかにCJ(※)で似ている雰囲気のコースってありますか?(※JCF/日本自転車競技連盟公認 Coupe du Japon MTBのシリーズ戦)
前田「あとは富士見パノラマの一部(ダートジャンプ)ぐらいかな」
沢田「じゃ、僕ら3人で練習してきますね!」
-ありがとうございました!(ということで、3人は再びゴンゾーパークを走ったのでした)。
各選手が乗るバイクのお気に入りポイントのレポートもどうぞ!
3人とも27.5インチホイールを履くカーボンフレームのハードテイルバイクですね。
沢田時(BRIDGESTONE ANCHOR)
沢田選手のバイクのお気に入りの部分は、アンカーのフレーム、そして電動シフトのシマノ・XTRDi2。「このバイク(アンカー・XR9)は2年使っています。アンカーは日本人に合うジオメトリーでフレームを作ってくれているので、取り回しがすごくラクですね」。
「XTRコンポが電動になったことが機材の変化としては大きい。シンクロモードといって、右側のレバーだけで前後のギヤをまとめて変速してくれます。ゴンゾーパークのコースではシンクロモードの出番はなかったんですが、上りがきついコースでも変速のロスがないので、力を残すことができます。あとドロでもトラブルがなく助かってます。シンクロモードを使っているときでも、前ギヤだけ変速することもできるので、坂を上りきって思いギヤに入れたいなんてときでも問題ありません」。
「最初は慣れなかったんです。レバーの形がワイヤー式とは大きく違っていたので、シフトアップしようとしているのに、逆にシフトダウンしてしまうことがありました。でも今はもう慣れました。変速モードや変速スピードも調整できるので、自分に合うフィーリングを選べますね」。
前田公平(BiORACER)
前田選手のバイクはスフィーダ・MTB650B。お気に入りポイントはホイール、サスペンション、ブレーキなど。
「インダストリーナインのホイールはフリーが120ノッチもあり、一般的なホイールの3倍はあります。ペダルを漕いで力がかかるまでのタイムラグが小さくなるので、コーナーの立ち上がりで加速しやすい。色の組み合わせで遊べるのもいいですね。リムはアルミですが、ペアで1450gぐらいと軽いので、レースでも十分使える軽さですね」。
「マグラ・MT8はモレルチェンジ以前はブレーキレバーを握り込むとレバーがしなって、レバータッチがふにゃふにゃしていると感じたことがありました。でもそれが改善されていて、コントロールしやすくて重量も軽いし、もちろん制動力も高い」。
「SRサンツアー・アクソンフォーク。軽くて動きもいい。最近はリバウンドを強めにしてゆっくりめで上りではロックアウトして下りで楽したい部分に合わせたセッティングにしています」。
「KMCチェーンはリンクプレートが肉抜きしていてチェーンが軽いのがいいですね。あと金ピカなんで偉そう(笑)。ワイドナローギヤでトラブルはまだないんですが、ドロがギヤの上に乗ってチェーンが外れるという事例も聞いているので、このデバイスはチェーン外れの保険ですね」。
中原義貴(BH RACING MTB TEAM)
個性的なフレーム形状のBH Ultimate 27.5に乗る中原選手。
「このフレームは見た目にはユニークな形をしていますが、思ったよりも軽い。あとフレームの後ろ回りがしなってくれて身体に優しい乗り心地です」。
「マグラ・MT8はレバータッチが良くて、安定してスピードコントロールできる。下りでスピードが出るところでも微妙なスピード調整がしやすい」。
「スラム・XX1コンポはフロントシングルギヤで、後ろのギヤだけ変速すればいいので簡単です。メカトラルも起こりにくいですね。レースでも普通のドロであれば問題ない。34T、36T、38Tの3枚のギヤをコースによって使い分けています。今年の富士見パノラマで開催される全日本選手権では34Tを使うことになると思います」。
「マヴィック・クロスマックスSLホイールは走りが軽いので欠かせない存在です。以前のモデルに比べて剛性感が上がったと感じました。横に強くて、でも縦にはすこし柔らかい。レース向きのホイールで、しかも乗りやすいんです。スピードに乗せて加速していける感じです」。
関連リンク:freestyle dirt criterium CriFFORD