三重県多気町「勢和の森マウンテンバイクコース」を走ってみた(前編)

まちづくりプロジェクトとしてのMTBコースとUCI公認レース開催の理由とは?

 

三重県多気町にある「勢和の森マウンテンバイクコース」を走ってきました。多気町といえば、「高校生レストラン『まごの店』」で一躍有名になったと言って差し支えないと思います。その多気町の次なる一手が、このMTBコースを軸とした自転車のまちづくりプロジェクトなのです。

このコースは3つのループで構成されたクロスカントリーコースです。全てのループをつなぐと約5kmのコースになります。

2012年に多気町役場の技術専門官として、ダウンヒルトップライダーの清水一輝選手が就任し、コース作りに携わりました。ダウンヒルライダーが関わったコースだけあって、下りの難易度は高いが面白いとの評判です。2013年11月にコースオープンして、昨年は耐久レースやJCF公式戦レースと2大会も開催するほど、地域スポーツの核となる施設として利用されています。

そして2015年10月3・4日には、UCI(国際自転車競技連合)公認大会として「勢和多気国際クロスカントリー大会」が開催されることになりました。これがいかに重要な大会であるかが分かりますね。それが計画の4年目にして早くも実現したのだから驚きです。

 

「勢和多気国際クロスカントリー大会」の運営をしている元MTB日本代表チーム監督の西井匠さんと、XCレーサーであり今年から自転車技術専門官に就く中島崚歩(なかしま たかほ)さん。

 

多気町じてんしゃの町プロジェクトのリーダーである西井匠さんに、この多気町にMTBコースができた背景を伺いました。

「多気町を有名にした『高校生レストラン』が一段落し、次のまち作りのきっかけを探していた市の担当者とひょんなことがきっかけで意気投合し、一年ほどの準備期間を経て、5カ年計画を立ててコース作りを行うことになりました。今年はその4年目です。地域の皆さんのご協力と役場の賛同が得られたことで、ものすごいスピードで進行しました。3年目でJ2大会ができ、そして今年はUCIにも登録しました。来年はオリンピック選考会場としての名乗りをあげる予定です」。

「基本的には自転車でのまち作りのプロジェクトの一環であって、大会を行うことが目的ではない。でも田舎の子供たちにもプロ選手のすばらしいパフォーマンスを見られる機会ができます。一般の人にマウンテンバイクってすごいな面白いなと思ってもらえるきっかけを作りたい。ファンがいてこそのプロスポーツであり、観客がいる場を作りたい。また、多気町は中学校の97%ぐらいが自転車通学です。マウンテンバイクのコース設計開発やレース運営だけでなく、地域での自転車安全教習もサポートしています」。

 

エリートXCライダーの中島さんはマウンテンバイクは5歳ぐらいから乗り始めて、レースには10歳ぐらいから始めたそうです。「多気町の自転車技術専門会に就いて、毎日楽しくやっています。大会には今までは出るほうだったので、運営はいままで体験したことがなかった。いろいろやることがあって大変だけど面白いです」。

 

こちらがコース利用の受付をしている管理棟です。

管理棟のエントランスには技術専門官として勤めていた清水一輝選手の特大パネルが!

 

 

 

バイクスタンドつきの洗車場もありますよ。

 

フェイスブックで勢和の森マウンテンバイクコースを一緒に走りませんかとつぶやいてみたら、TEAM SCOTT JAPAN松本駿選手と、MIYATA-MERIDA BIKING TEAM小野寺健選手が一緒に走ってくれることになりました! 超ビッグゲスト! ありがとうございまーす!!

異なるチームの選手が一緒に収まるという、なかなかレアな写真!

 

トレイル感を楽しめる中級者コース「バーミークリフ」

 

コースは3つのループに分かれています。全体的にダブルトラックが多いけど、林道というほど広くはなく、かろうじて自転車2台分というぐらいの幅。草がコース脇に茂っていると、感覚的にシングルトラック感が高くなります。

まずはひとつめのループ、中級者向けの「バーミークリフ」へ。入り口脇に看板が立っています。ここが勢和の森に初めてできたMTB周回コースです。つまりコース全体のコンセプトを表していると考えてもいいのではないかと思います。

最初にダブルトラックをジワジワと上ります。レースでは、野球場脇の舗装路直線からスタートしてこのダブルトラックへ入るということです。ここでコース幅が一気に狭まると思われます。つまりボトルネックになるということです。他のブログでもやはり渋滞したと書いてありました。でも、スタート直後の渋滞は、程度の差はありますが、どのレースでも起こりうることです。ボトルネックに入る前にすこしでも前に入っておきたいですね。

ダブルトラックのストレートを抜けると、一気にローギヤに入る急勾配になりました。この段階でヒーヒーです! 一度降りてしまうと再スタートが難しいほどの勾配をいきなり走り始めたので、脚も心臓も驚いています! ちゃんと準備体操しておかないと!

コース上は水が流れた痕で道が掘れていました。少人数でラインを選べるのであれば走ることには特に問題ないのですが、レース当日ともなると前後左右のライダーに挟まれているので、ラインの自由度は狭まります。試走時にどのラインを選べるのかチェックしておきたいですね。渋滞具合によっては、スタートの位置取りで上りのラインが変わりますからね。

レース当日までにコースの補修が行われるそうなのですが。さて、どうなっているのでしょうか

急勾配と言っても、GPSのログを見たところではこのループでの高低差は30mほどといったところでしょうか。距離も長くはありません。基本上りだけど途中で微妙に下りにもなるので、脚がある人ならかなりスピーディーに走れると思います。

 

上りが終わると、緩やかな下り。ダブルトラックのまま右に左とターンが続きます。数カ所で谷側にバンクがあるので、勢いを落とすことなくスピーディーに下れます。

「まるでアメリカのような砂っぽい土質だね」と松本選手。

そうそう、乾いた感じで適度にグリップしつつ、滑り始めるとスカーンとグリップが抜ける感じです。

岩や砂がメインなので好天が続けば、すぐにドライコンディションになると思います。しかしドロップオフへ下りきる前には一部でウェットなところもあり、水が山肌から出ていました。全体的に水はけがいい土質けど、一部で水が抜けにくいところもあるという感じです。

 

下りきるところに「古道」のドロップオフがあります。

「古道」までの下りは水の通り道になっているようで、ここでも路面が縦に掘れていました。そのまま突っ込むとフロントタイヤが轍にはまって転倒!なんてこともあるので、右に左にラインを振って、丁寧にクリアしたいですね。

 

余談ですけど大事なこととして、トレイルであればさらに溝が深くならないように、路面が濡れているときに縦溝を走るのはマナーとして控えたいところです。でもここは常設コースですからね。必要以上に路面を痛めることを推奨するつもりはありませんが、このような難しいコンディションでも思いっきり練習できるのが常設コースを利用するメリットではないでしょうか。それがシェアが基本の「トレイル」と、利用者を限定した「クローズドコース」の違いを示すひとつの要素じゃないかなと思うのです。

あっ、常設コースではありますが、ここ勢和の森マウンテンバイクコースは、雨天およびコース状態不良の場合は利用できないとのことです。トレイルやオフロードコースは維持するのが大変ですからね。思いっきり遊ばせてもらいつつも、コースをいたわってあげましょう。

コース紹介から脱線しちゃいましたが、業界内でもコースとトレイルの区分が不明瞭なところがあるので書いてみました。

 

ループの終盤にプロセクションの「古道」のドロップオフがあります。
丸い石を敷き詰めているうえに、最後はタイヤの高さほどの落差!

でもここのドロップオフは着地がなだらかなスロープの直線になっているので、しっかりとバイクを押し出せば意外と難なく行けました~。

 

跳べない人のためにもエスケープルートもあります。

ジャンプはないけど石でラインが限定されてるので、これはこれで難しい。

ここで初級コース「バーミークリフ」のループは終了。野球場脇から左側ののり面に降りていくと、次のループ「ロッキークロス」への舗装路に出ます。

というわけで、第1ループの「バーミークリフ」で実走レポート前編終了。後編は第2ループの「ロッキークロス」、第3ループの「マカロントレイル」をご紹介します。

 

コースの最新情報は下記ウェブサイトでご確認ください。

勢和の森マウンテンバイクコース http://cycling-taki.com/

多気町・自転車のまちづくりプロジェクト 公式ブログ http://takicycle.blog.fc2.com/

勢和の森MTBコース 利用可能日について 

 

コースについての問い合わせ先

多気町産業環境課
〒519-2181 三重県多気郡多気町相可1600
TEL:0598-38-1118
FAX:0598-38-1140
URL:http://www.town.taki.mie.jp/