ENS 第2戦 総合優勝 永田隼也選手インタビュー

「エンデューロはワンミスがあっても、他のステージで取り返せる面白さがあります」。

乗鞍MTBエンデューロ ENS 2015シリーズ Round-2で総合優勝した永田隼也選手(AKI FACTORY TEAM)に、世界のエンデューロ大会について、そしてレースで使用したエンデューロバイクについて伺いました。

 

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エンデューロ仕様に組んだコナ・プロセス153DLと永田隼也選手。

 

-ENS 第2戦 乗鞍大会、優勝おめでとうございます。レースでの戦略は?

「スペシャルステージ(以下SS)1は抑えめに走りました。バンクが続いてタイム差も出にくいステージだと思います。SS2とSS3はコギメインなのでそこで力を使い切ろうと考えました。後半になるにつれてフィジカルが重要になるので、エンデューロらしさがあるいい構成だったと思います。ENS 第1戦の富士見高原大会はステージが短めでダウンヒルに近いものでしたが、今回の乗鞍大会は昨年よりもステージが増えて、コースも長くなり、エンデューロらしさが出てきたと思います」。

 

-昨年参加したEWS(エンデューロワールドシリーズ)はどんなレースでしたか? 

「昨年はイギリスとイタリアの2戦に出場しました。一発目からずいぶん激戦区に来たなって、周りからは笑われましたけどね。そんなの知らないよって(笑)。EWSの情報収集はネットが主でした。

EWS(エンデューロワールドシリーズ)はかなり急な下りもあるし、SS中での上りもしっかりあります。上り、下り、どちらも得意じゃないと結果を出せないので、奥が深いと感じました。ステージひとつが長く、ワンミスをしてもまだ取り返せるチャンスが残っています。1ステージにつき3kmぐらいはありますね。長いところでは9kmほどありました。その長いステージの中で自分の中での駆け引きがありますね。自分の力をどうやって出しきるのか、そのペース配分が重要になってきます。エンデューロはステージが多くてコースが長いので、ミスをしても巻き返せる部分があるから楽しいですね。

イギリスのエンデューロコースは舗装路がほぼゼロで、リエゾンでずーっと林道とシングルトラックを上っていくんですよ。シングルトラックも根っこだらけだったり。ほとんどトレイルライドみたいな感じですね。1日50kmぐらいだったかな。しかも標高が高いから寒いし、そのときは雨が降ったからさらに過酷でした。で、SSの下りがずーっと急なんですよ。ダウンヒルライダーに分かりやすく言うと、瀬名(石川県で開催されていたダウンヒルコース)のブナ林みたいな感じで、スタートしてずーっと急斜面を下りました。

で、下りで足が疲れ切ったところで、林道に出ると400mほどの距離の上り坂があって、そこを全力で上るんです。そこで心臓やられて、また激斜面を下りました。トップの選手はその上りを立ちコギで漕ぎまくるんです。しかも、下りに入ってもペースが落ちないんですよ。下りだけ速くてもダメだし、体力だけあってもダメ。エンデューロは奥が深い競技だと思いました。タイヤは、コギが重くても下り重視でダウンヒルタイヤを選んだり、逆に上り重視で走りが軽いタイヤだったりとライダーによっていろいろです。個人やチーム単位でも作戦を練って機材も工夫していますね」。

 

-エンデューロレースに使用したバイクについて教えてください。

「今回の乗鞍のコースであればコナ・プロセス153(※)ぐらいの150~160mmぐらいのサスの長さがあるほうがラクですね。区間によってはプロセス134のほうが速いところもあるかもしれませんが、エンデューロには総合的にはプロセス153のほうがベストだと思います。それに国外の本場のエンデューロであれば、160mmクラスのフルサスじゃないと怖いと思います。サスのセッティングやポジショニングもポイントですね。上りも下りも重要ですからね。(※編注/永田選手が使用したのはコナ・プロセス153DLというフレーム販売のモデルをベースに組んだもの)

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FOX・36フロートフォークとマヴィック・クロスマックスXLとの組み合わせに信頼を寄せる永田選手。

サスはFOXのエアサス、36フロートシリーズで160mmトラベルです。同じトラベル量のクラスでも、より軽量な34シリーズというモデルもあります。でも、36シリーズは剛性が高いから下りで突っ込んでいけるんですよね。エンデューロのような長丁場では疲れてくるほど機材頼みになってくるので、剛性感の違いによる安心感は大きいですね。

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スペシャルチューンを施したFOX・フロートX リアサスペンション。

リアサスのFOX・フロートXはスペシャルチューンにしてもらっています。ストロークの奥で踏ん張るようにセッティングされていて、作動感もとてもスムースです。リエゾンの上りではリアサスをロックしています。下りでもコギが多いステージでは、コンプレッションはミドルの2にして漕ぎやすくしています。乗鞍のエンデューロでは、SS1ではリアサスを解除してサスが積極的に動くように、SS2とSS3は2してペダリングしやすいようにしました。

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エンデューロ向けに開発されたマヴィック・クロスマックスXLホイール。フォークはアダプターで15mmと20mmのスルーアクスルに対応。

ホイールは今年からマヴィック・クロスマックスXLを使っているのですが、軽量でしかも剛性感の高さがハンパないですね。マヴィックがエンデューロにフォーカスして設計しているだけあって流石だと感じました。

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操作がクリック感があるXTR Di2のシフターと、ギヤ位置がわかるディスプレイ。

あと、今回から電動コンポのシマノ・XTR Di2を使いました。これはいいですね。エンデューロでは下りながら激しく漕がないといけないのですが、チェーンが噛み込んだりすることもなく安心して走れました。シフトレスポンスもかなり速いですね。乗鞍エンデューロでのフロントギヤは34Tです。XTRのリアのスプロケットは、ローギヤが40Tだけでなく42Tも出たんですよ。そうすると、前36Tでより高速向けのギヤ比にしてもいいかもしれませんね。

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フロントシングルギヤにシマノ純正デバイスの組み合わせ。

 

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電動でありながら見た目にコンパクトなXTR Di2リアディレイラー。

 

あとこのバイクはDi2のバッテリーをフレームに内蔵しています。フレームサイズがLサイズなので、ドロッパーポストでもDi2のバッテリーを入れられるだけの余裕があります。普通のシートポストであればMサイズでもバッテリーが入ります。

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LサイズのフレームだからDi2のバッテリーを内蔵できた。長身の永田選手ならでは。

他のライダーはヘッドチューブからフレームのなかにバッテリーを入れて、ガタつかないようにクッションで巻いたりしていますね。僕のバイクはバッテリーをバーテープで巻いています。電動コンポだけど、そういえばバッテリーはどこにあるの?っていうぐらい違和感なくスッキリできました。バッテリーを内蔵したことで、トラブルも減ると思います」。

-世界のエンデューロシーンのことや、エンデューロ機材のポイントがとてもよくわかりました。ありがとうございます。